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現状を打破する変革人材の採用・育成のすすめ(完結編)

福井 信英
福井 信英
2009年7月15日
前回のコラムでは、変格人材の力を引き出し、活かすためにどのように環境を整えるかについてお伝えした。

今回は、変革人材に出会い採用するための方法として、
ターゲットを絞ったアプローチ(広報)と、
変革人材かどうかを見極める選考プロセスの設計についてお伝えしたい。


●変革人材にターゲットを絞ったアプローチ(広報)を行う

 さて、前回のコラムで述べたような制度を人材採用・育成に活かすにしても、変革人材に出会うことができなければすべては水泡に帰する。

変革人材に出会うためのキーワードは、

・ターゲットマーケティング
・インターンシップの実施
・紹介ルートの強化

以上3点だ。

たくさん集めてたくさん落とすというマスマーケティングの無意味さに関しては以前コラム(「誰も語らない、新卒採用市場の深刻で根深い問題」※東洋経済オンラインに掲載中)で語ったが、変革人材に出会うには、インターンシップをトリガーにターゲットマーケティングを行うのが理想だ。変革人材は、「ビジネスをしたい」「早く社会に出たい」「どうせ働くなら、誰でもできる仕事ではなくて知恵を使って働ける仕事がしたい」という欲求を持っている。彼らの欲求を満たすには、比較的長期にわたって働けるインターンシップの制度を社内に構築するのがベストだ。(無理ならば、効果は少々劣るが、1~2週間で完結するプロジェクト型のインターンシップでもよい。)

 もちろん、インターンシップに応募してくれれば誰でもいいか、というとそうではなく、しっかりと実力を見極めた上で採用を行う必要がある。そうやって採用した優秀な学生に、長期にわたり戦力として活躍してもらうことで、信頼関係を築くというのが次のステップになる。信頼関係というと、漠然とした言葉に聞こえるが「心理的契約」と言い換えてもいいだろう。心理的契約とは、相互に信頼関係があり、自発的に相互の成功のために助け合うような関係を築くということだ。(故に、雇用主たる企業は学生の就職活動や人生の成功をまず第一に考えることが必須となる。)

 信頼関係を築けた学生を採用できればよいが、学生から拒否される可能性もある。そこで必要となってくるのが、手塩にかけて探し、選んだ学生に、自社に合うような学生を紹介してもらうことだ。これが紹介ルートの強化になる。
 優秀な人材の背後には優秀な人材が数多くいる。いち早く彼らを見抜き、迎え入れる。それができるようになれば、変革人材にターゲットを絞った採用も無理なく行えるようになる。


●変革人材かどうかを見極める選考プロセスを設計する

 変革人材が保有している能力を大きく3つに分けると、「高い目標意識」「思考力」「行動力」となる。目標意識は変革を促す起爆剤となるのに必要だし、思考力は効率よく目的地につけるようコントロールすることを可能にし、行動力は活動のエネルギーとなる。
 3つすべてを保有する人材を採用することが望ましいが、2つでも保有していれば変革の中心となるのに十分な素養を持っていると言える。残りの一つは優秀なサポート役がつくか、後で経験を通じて伸ばすこともできる。1つしか保有していないメンバーは変革のサポート役となることは可能だが、成長には時間がかかる。現段階では変革人材とは言えないだろう。

 それぞれの能力の見極め方だが、「高い目標意識」「行動力」は、選考を受ける段階で何らかの形となって産み出されている可能性が高い。サークルをつくる、インターンシップで成果を生み出す、論文大会で賞をもらったなど。目標意識が行動として表れ、結果につながっているかどうかで判断できる。

 「思考力」は、選考途中にレポートを書かせることをおすすめする。多角的な視点でものごとを見ることができるか、客観的な事実を元にロジックを積み上げることができるかどうかを見る。また、過去に体験した問題解決のエピソードを聞き、「効率性」「仕組み化」を重視しながら活動していたのであれば、これも「思考力」の発現と捉えることができるだろう。
 現代は、入試方法も多様になり、適性検査も十分対策できるようになってきているので、学校名やテストの点数だけで「思考力」を評価するのは危険だ。もちろん、対策もしてこない人は論外なので、足きり程度の効果はあるが、やはり本物を見抜くには、過去の体験・エピソードと工夫したレポートから判断するのが望ましいだろう。


●現代の「恐竜」とならないために

 優秀な人材を採用するのは本当に難しくなったと思う。
 小回りが利かず、意志決定に時間がかかる企業であればなおさらだ。

 3億年前~7000万年前に栄華を誇った「恐竜」がなぜ、絶滅したかご存じだろうか。隕石の衝突による寒冷化説が有力であるが、それは外部的な要因に過ぎない。

 恐竜が一匹残らず絶滅した、別の原因は恐竜の内部構造にあったといわれる。変温動物である弱点を補うために2億年かけて進化させてきた「大型化」と大型化に伴う「長寿命」が、隕石の衝突による環境変化の影響を何倍にも増幅させてしまった。長寿命であったが故に、進化のスピードが当時小動物であったほ乳類の何十倍も遅かった。結果、環境の激変に適応できず、絶滅してしまった。

 業績が悪化している企業もあるだろう。ただ、その悪化による原因を外部に求めているだけであれば、企業の存続はままならない。いつも、真に重要な問題は自らの内部にある。そして、内部をかえることができるのもまた、内部のものだけだ。

 このコラムを読んでくださった方一人ひとりが、属する組織の「変革人材」となり組織の進化と変革を促す旗手となることを切に願っている。
この記事を書いた人
福井 信英
福井 信英

株式会社プロジェクトデザイン 代表取締役

大学卒業後、経営コンサルティング会社に勤務。学校法人のコンサルティングを手がけたことをきっかけに、人材育成に強い関心を持つ。3年間の勤務を経て、人材に関わる仕事を一生の仕事にすべく、株式会社ジョブウェブに転職。以降、新卒事業部長、キャリア支援事業部長を歴任。中でも体験を重視した研修教材の作成に力を入れ、東証一部上場企及び、急成長中のベンチャー企業を中心に、開発した教材が続々と導入される。2010年、株式会社プロジェクトデザイン( www.projectdesign.co.jp )を設立。現在は東京と富山にオフィスを設け、全国各地の企業の人材育成を支援している。

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