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採用戦略を実行する上で、注意すべきことは?

古波倉 正嗣
古波倉 正嗣
2014年2月21日
戦略は、実行が伴ってこその戦略であると言えます。

船

戦略の実行フェーズで必要不可欠な2つのキーワードとは?

採用戦略を実行する上で、注意すべきことは?の回答

「大手の○○社の会社説明会に参加したのですが、予定人数よりも多くの学生が集まったためか、開始時間になっても学生が廊下であふれたままで、社員のみなさんが慌てふためいていました」

数年前、私が講師をつとめる就活講座で、ある有名大学の女子学生がこんなことを言っていた。この事実から、あなたは、採用戦略実行フェーズにおいてどのような示唆を引き出すだろうか?

「たまたまじゃないかな」
「学生には大変さが分からないんだよ」
「働く人の気持ちが分かっていない学生だな」
「その女子学生はもともとその会社に好意的じゃなかったんじゃないか」
「そんな現場感覚のない学生はどこから も採用されないよ」

などと、直感してしまう場合もあるだろう。しかし、このような印象を持った人は、いくぶんの注意が必要だ。視点が内向きになっている。採用における目標・ゴールは、「自社に適合する人材の採用」なのだから、目線は学生に向いていなければならない。

プロジェクト管理による仕事を進めた経験のある人は、その本質を理解しているだろうが、 「戦略とは仮説であり、PDCAの道具である」(富山和彦著『会社は頭から腐る』ダイヤモンド社)なのである。実行フェーズでどれだけ高速にPDCAを回転させることができるかが、肝なのだ。

産業再生機構で実行リーダーを務めた富山氏の同著から言を借りよう。

「PDCA がよく回っている会社が良い戦略にたどり着くのである。逆にいうと、戦略が仮説にすぎないという本質を理解しPDCAを回すことに精力を注いでいる企業こそ、 戦略経営が実践されているといえる。

(中略)

戦略を策定した後に、経営上本当にやるべきことは、戦略を、PDCAを回す道具として、冷静かつ合理的に利用 していくことである。

(中略)

もうひとつは、これも失敗を恐れるあまり、失敗を認めたがらないことである。それは戦略の無謬性にこだわりすぎ、失敗してはいけないと戦略を捉えるがゆえに、戦略の実行後も、冷徹なフィードバックができないからだ。何とくうまくいっていないと思っても、それを誰も言いだそうとしないし、検証しようとすることすら憚れる文化を持った企業が案外多い。失敗を認めると犯人捜しする必要に迫られると思うのか、さらには、ムラ社会的な組織では、共同体の一員から犯人を捜したくないと考えるのだ。

(中略)

このように戦略力とはより合理的な戦略仮説を構築する知的能力と、それを実行しながら的確かつ迅速にPDCAを回す組織力の掛け算である。そしてそのいずれもその過程に関わる人間性の現実、情理の作用の仕方でパフォーマンスが大きく左右されてしまう」


では、どのように実行フェーズにおけるPDCAを高速回転させ採用戦略上の目標を達成していけばよいのだろう。キーワードは「学習」と「意志」である。

学習」においては、PDCAの本質と実行フェーズにおける価値を再認識することである。Plan(計画)→Do(実行)→Check(検 証)→Action(修正)というマネジメントプロセスを、実行段階でどのように回すと全体最適に貢献できるのかをメンバー全員で事前にアイデアを出し合い、相互に支援できる体制を作る。実行にあたっては、その日、その仕事、その作業においてPDCAをどのように回したのかを報告・共有する。これにより、メンバー全員が採用プロジェクトを俯瞰的にとらえることができ、それぞれが「現在状況」と「次なる一手」を捉え、共有し動くことが可能となる。

戦略実行前、あるいは実行途上においてPDCAを再学習しつつ、次の要素である「意志」についても押さえておきたい。この意志力については、「意志力革命」(ハイケ・ブルック共著 ランダムハウス社)が参考になる。少し長目だが引用する。

「紀元前49年1月11日、ユリウス・カエサルは軍隊を率いてルビコン川を渡り、当時ローマを支配していたポンペイウスに対して事実上宣戦布告するという 重大な決定を下した。『賽は投げられた』という言葉とともに、カエサルは軍隊を率いてローマに攻め入る決意を固めたのだ。ルビコン川を渡りローマの中心部に攻め入れば、もう引き返せないことは分かっていた。カエサルと彼の兵士たちがローマを奪取するか、ポンペイウスが彼らを全滅させるかの二つに一つだった。

カエサルの決意は歴史の流れを変えることになった。ルビコン川を渡る前には、ローマを奪取することはアイデアの域を出ず『成就すればよ い』願望に過ぎなかった。ルビコン川を渡った後には、彼のすべての意志が後押しする、もはや帰ることのできない流れとなった。そして、そのことこそが成功を確実なものとしたのだ」


この引用では、カエサルというリーダーを例にとっているが、自社のプロジェクトメンバーがそれぞれ、自身をカエサルに置きかえて読み解くことで「採用成功における自分はどうなのか?」という視点で示唆を得ることができるだろう。

この話は結構有名な話なので、多少リーダーとしての教育を受けた人ならば知っていることだろう。ただし、ある概念が実行フェーズにおける動きの障害となる。モチベーション論がそれだ。 「カエサルの話は分かった。しかし、そもそもモチベーションが上がらないとできないんじゃないの?」「部下のモチベーションを上げることができないと、実行はうまくいかないよ」

その通りだと思う。が、先の引用に「願望に過ぎなかった」とあった。カエサルからすれば内発的モチベーションであり、兵士たちからすれば外発的モチベーションが「願望」という言葉で表わされている。モチベーションと意志力とはどのように違うのかを、同書から再び引用したい。

「『モチベーション』から『意志の力』へと移行するには、マネジャーはまさに、この決定的な全身全霊をかけてのコミットメントへの転換点を通過しなければならない。意志の力持つマネジャーとは自分自身でルビコン川を渡った人々である。実際に、ルビコン川を渡るまでの力と、渡った後の力では大きな違いがある。渡る前にあるのは単なる願望であり、願望という原動力はしばしば移ろいやすい、うわべだけのモチベーションである。この時点ではいつでも引き返すことができる。

この境界点を超えると、知識と感情が融合して断固とした意図に変わる。これがまさに意志の力である。意志の力があれば、人は、実現したいと願っていることを理性と感情の双方により強く支えられるようになる。自分自身の『ローマ』に到達するまで、ほとんど取りつかれたように粘り強く行動する。背後の橋を焼き落とし前進するにつれ、その意図は次第に明確になる。唯一つの残された問題は、どのようにして到達するかだけとなる」


採用戦略を立案し、実行フェーズに移り、採用目標を達成するにはPDCAと意志力、この二つの車輪が有機的かつ高速に回転してこそ「あるべき人材」の採用につながるのである。採用業務に従事するメンバーそれぞれが、チーム一丸となって、それぞれが持つ自らの意志の力を信じ、PDCAを高速回転させてこそ目標は達成される。PDCAと意志力、誰しも会社員を経験すれば、当たり前のように教えられたり、気づいたりしてきたことだ。良い仕事をすることの基本とさえ言える。


この記事を書いた人
古波倉 正嗣
古波倉 正嗣

ヒューマンキャピタル・イニシアティヴ代表
株式会社マンゴーズ シニアアドバイザー
国際ディベート学会公認 ディベートトレーナー

現在、企業、官公庁研修所、自治体等 において、「思考力強化/コミュニケーション力強化」をテーマに、問題解決手法、論理的思考法、ディベート(日本語/英語)、プレゼンテーション(日本語/英語)、ビジネスライティング(日本語/英語)等、様々なプログラムの開発及び指導を行う。企業研修も多く人事との交流も深い。学生向けの就職活動支援セミナー講師歴は約15年になる。問い合わせ先:kohakura.masa@gmail.com

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