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無償のインターンシップは何が問題なのでしょうか?

神谷 政志
神谷 政志
2013年9月26日
実質が伴っていない、いわゆる、名ばかりのインターンシップや、無償のインターンシップに関して。

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「無償のインターンはよくない」という話がありつつ、「成長機会こそが報酬なのだから金銭的な報酬はなくてもよい」という意見も聞きます。どちらが正しいのでしょうか?


無償のインターンシップは何が問題なのでしょうか?の回答

個人的に思うのは、インターンシップという言葉の定義が曖昧なため、企業と学生の期待がズレたり、知らずに違法な状態になっていることが多いということだ。

私は学生のとき、月給5万円で週3~5日、一日6~12時間ほど働いていた。会社に泊まることもしばしばあった。これを4ヶ月ほど続けたのだが、個人的にはとても良い経験をさせてもらったと思っている。

また、私の友人や先輩、後輩にも似たような条件でインターンシップを経験していた人が一定数いた。その人たちからインターンシップの感想を聞くと「とても良い経験をさせてもらった」という意見が多い。

しかし、よく調べてみると、その多くが違法である可能性があった。


インターンシップの種類

現状、日本でインターンシップと呼ばれているものは、目的別に大きく3つに分けられる。

1)キャリア教育を目的としたインターンシップ
【主体】大学、高校、専門学校など
【対象】学年問わず
【期間】2週間程度

2)新卒採用を目的としたインターンシップ

【主体】大企業、ベンチャー企業など
【対象】大学3年生、大学院1年生に限定されていることが多い
【期間】1日~1ヶ月程度

3)労働力を目的としたインターンシップ
【主体】アーリーベンチャー、NPO法人など
【対象】学年問わず
【期間】1ヶ月以上、3ヶ月以上、など

アーリーベンチャーやNPO法人など行われているインターンシップは、長期インターンシップ、実践型インターンシップ、社員型インターンシップなどと呼ばれることが多い。

これ以外に、労働力を目的としたインターンシップには内定者に働いてもらう内定者インターンと呼ばれるものもある(以下概要)。

4)内定者インターンシップ

【主体】新卒採用を行っている企業
【対象】その企業の内定者
【期間】1日~数ヶ月

上記のうち、名ばかりインターンシップとは、以下のものを指していると思われる。

A)新卒採用を目的としたインターンシップのうち、期間が極端に短いもの
B)労働力を目的としたインターンシップのうち、最低賃金を下回るもの
C)キャリア教育を目的としてインターンシップでありながら、労働をさせてしまい、かつ、正当な賃金を払っていないもの


なお、A・B・Cには当てはまらないものの、内容が粗悪なインターンも名ばかりインターンシップと呼ばれている場合もあるが、主なものはこの3つになる。

このうち、法的に問題がある可能性のあるのはB・Cである(なお、アメリカやヨーロッパでも無償インターンシップは問題になっている)。


インターンシップとは就業"体験"である

インターンシップはあくまで就業体験である。

インターンシップによる実習は、教育活動の一環であるため学生が労働者としてみなされない場合と、実習の態様から判断して労基法上の労働者とみなされる場合とがある。労働者とみなされることになれば労基法、最低賃金法などの法令が適用され、実習中の事故においては労災保険法の適用となる。

では、どういう場合に労働者とみなされるのか?どういう場合には労働者としてみなされないのか?見ていこう。労働省の行政通達(平成9年9月18日基発第636号)には以下のようにある。

”一般に、インターンシップにおいての実習が、見学や体験的なものであり使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合には、労働基準法第9条に規定される労働者に該当しないものであるが、直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生の間に使用従属関係が認められる場合には、当該学生は労働者に該当するものと考えられる。

なお、この判断にあたっては、昭和57年2月19日付け基発第121号「商船大学及び商船専門学校の実習生について(一般に実習の委託を受けた事業場との関係において原則として労働者ではないとするもの)」も参照されたい。


参照されたいと書かれている昭和57年2月19日付け基発第121号には以下のような場合、労働者ではないものとして取り扱って差し支えないとある。

(1)実習は、委託先事業場の従業員で大学等から実習の指導を委託されたものの指導の下に行われていること。

(2)実習は、通常、現場実習を中心として行われており、その現場実習は、通常、一般労働者とは明確に区別された場所で行われ、あるいは見学により行われているが、生産ラインの中で行われている場合であっても軽度の補助的作業に従事する程度にとどまり、実習生が直接生産活動に従事することはないこと。

(3)実習生の欠勤、遅刻、早退の状況及び実習の履修状況は、最終的には大学等において把握・管理されていること。

(4)実習生の実習規律については、通常、委託先事業場の諸規則が準用されているが、それらに違反した場合にも、通常、委託先事業場としての制裁は課されてないこと。


冒頭の繰り返しになるが、上記2つの通達を見るに、インターンシップでは労働・生産活動に従事してはならず、従事した場合には労働者と見なされ、労基法、最低賃金法が適用にある。

この件について、社会保険労務士の事務所に伺って相談をした結果、具体例としてこんなお話を伺った。

インターンシップ生(実習生)がエクセルやパワーポイントなどで作成したものを実務で活用した場合、それは直接生産活動に従事したと見なされ、労働したことになる。労基法、最低賃金法が適応される。

接客や電話応対などをしてもらう場合には、指導員(指導する社員)が後ろで常に見ていて、業務について指導できる状態にあれば、実習として認められるが、実習生が自立して継続して取り組んだ場合には労働に当たる。指導員が常に監督している状態で実習に取り組んでもらう際も、そのような実習を行うことを、行政に届け出を出しておくことが望ましい。

とのこと。労働省の行政通達と社会保険労務士の方々のおっしゃっていることから判断するに、インターンシップは実習であり労働はしないものといえる。

冒頭で、目的別に3つのインターンシップのタイプを紹介したが、労働力を目的としたインターンシップは、厳密な意味でのインターンシップではないことになる(労働力を目的としたインターンシップという言葉自体がおかしい)。

無償インターンシップの問題は労働に対して賃金を払っていないことが問題であり、インターンシップは労働ではないので、インターンシップが無償であることは問題ではない、となる

言いかえると、労働をさせておきながら「これはインターンシップである」といって賃金が払わないのが問題なのである。労働に対しては賃金を払うのが大原則であり、貴重な経験、成長機会を理由に最低賃金を下回る賃金、無償労働は法律的には認められない。

経験や成長を賃金の一部とバーターして、最低賃金以下で労働させてはいけないのである。

この記事を書いた人
神谷 政志
神谷 政志

新卒一期生として株式会社ジョブウェブに入社。営業部リーダー、マーケティング部門の立ち上げ責任者、採用支援事業部長として企業の新卒採用支援・学生の就職活動支援に5年間携わる。その後、有給インターンシップ事業、海外インターンシップ事業、海外研修事業など新規事業の立ち上げ責任者を務め、アジア(東、東南、南)、中東、東アフリカ、北中米にビジネスを展開する。
現在は独立し、日本人の海外就職、外国人インターンシップ、外国人採用などのサポート、英語によるビジネス研修などを実施している。渡航経験は20カ国。

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