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入社の意思決定を後押しするコミュニケーション ~面接官の役割その5「決断を支援すること」~

小緑 直樹
小緑 直樹
2016年1月5日

面接官の心得」でお伝えしてきた面接官に必要な5つの役割。
今回のテーマは、面接官の役割その5【決断を支援すること 】です。

この「決断を支援すること」とは、内定出しした学生(もしくは内定出ししたい学生)に対して、自社への入社の意思決定を支援するコミュニケーションのことです。

内定を出す優秀な学生ほど複数社の内定を持っている可能性が高く、学生はその複数社の内定先から入社する会社を1社選びます。複数の内定を持つ学生は、1社を選ぶ際においても、「もっと自分に最適な1社はあるのではないか?」という不安を抱いているケースが多くあります。
そんな不安を払拭し、決断を支援する工夫をご紹介します。

この場では、普段、コンサルティングの現場などで私が実践し、効果的だと思う「決断を支援する」工夫(以下ステップ1~3)を紹介いたします。



【ステップ1】本音の志望度を知る

「他社を全く受けずに自社を第一志望としている学生」と「他社が第一志望で自社の志望度が見えづらい学生」では、クロージングのコミュニケーションの方法が全く異なります。

決断を支援するコミュニケーション戦略を立てるためにも、まずは、学生の本音の志望度を知る必要があります。しかし、学生から本音の志望度を聞き出すことは簡単ではありません。直球に志望度を聞いても、「御社は第一志望群です」と煙に巻かれた受け答えをされるのが関の山。では、どのように本音の志望度を聞き出せばいいのでしょうか?ここでは、私が普段からよく意識する2つの方法を紹介します。

・アンオフィシャルなランチ会orお茶会の実施(採用担当or担当リクルーターが実施)
よく実施するケースは、【最終選考前】。アンオフィシャルなランチ会で大事なポイントは、「応援者のスタンス」になることです。最終選考まで進んだ学生は、人事や現場としてはこれまでの選考を通じて「一緒に働きたい」、「最終選考も通過して欲しい」と考えている学生です。だからこそ最後はピュアに『応援者のスタンス』となり、それが相手にも伝わることが必要です。それが伝わった時、学生から他社の選考状況や、自社への本音の志望度が聞けます。伝わりやすくするためにもできるかぎり、会社を離れたお店で、ランチを取りながら、もしくはお茶を飲みながら。そして学生としても最終面接の準備となるような場になることが理想的です。

・志望度をパーセンテージで聞く
次は面接中に学生の本音の志望度を確認するための質問です。よくあるのは、自社への志望度を聞いた時の返答で「第1志望“群”です。」という回答です。結局1社しか選べない現状を考えると、これでは喜べない状況です。第1志望になれていないことを考えると、学生にとって自社の何かが伝わっていないことを意味します。それはお互いにとってよくないため、私はよく「今、あなたが志望する上位3社程度を100%とすると、うちの会社は何%くらい占めてる?」といった質問をします。そこで答えた数値の正確性に意味はそこまでなく、その中での順位を知ることで、100%に近づけるための解決策が、その後の情報提供や社員の紹介につながります。もし特に伝えるべき情報は伝わっている上で辞退になるのであれば仕方がないことですが、情報不足はこれによって防げると考えています。


【ステップ2】志望度別にコミュニケーションを設計する

ステップ1で本音の志望度がわかったら、その志望度の高低に合わせて、コミュニケーション設計をします。決断を支援する際に最も重要なことは、「タイミング=志望度の高まりの旬」を逃さないことです。志望度が低い状態の内定は、学生にとっては「滑り止め内定」程度にしか思われず、学生・企業双方にとって意味の内定になる可能性があります。志望度の高まりの旬を見極めながら、志望度の「高」「中」「低」ごとにコミュニケーションプランを立てることが必要になります。

・志望度「高」学生に対して
タイミングを逃さず本人が決断できるように背中の後押しをしてあげることが重要です。具体的には、自社らしい内定出しの演出が効果的です。過度に演出しましょうということではなく、一緒に働きたい気持ちを相手に伝わるように伝えることが大事です。

実際の事例では、
・内定伝達後、オフィスにて社員達が拍手で迎える場を用意する。
・社長から握手と「一緒にがんばろう」と言葉かけをする。
・インターンシップや選考で出会った社員からのメッセージを手紙や色紙にまとめる。
・内定授与と同時に部屋が暗くなり、音楽とともにケーキが出てきて、学生がローソクの火を吹き消す。
などがあります。上記を読み、「自社であればこういうやり方が考えられるな。」、「さすがにこれは社員にもやっていないからやり過ぎだな」など、自社の風土や学生との関係性などを考慮しながら、自社らしい演出は用意することをお勧めします。

・志望度「中」学生に対して
自社を志望してくれて、選考に残ってくれているものの、より志望度の高い他の会社がありそうな学生がこの志望度「中」に当てはまります。採用成功を考えると、この層の学生からいかに選ばれるかが鍵となります。
ポイントは「複数社の中の1社からの脱却」。そのためには、他社を上回る自社に決断する理由をどれだけ付与できるかが重要です。

王道は、『学生に合わせ、多くの社員に会ってもらうこと』と、『その学生を評価している理由を具体的に細かく伝えること』です。他には、私は、この志望度「中」の学生には、直接、決断のために必要な情報を聞くことが多くあります。「過去の人生の節目でどのように決断してきたか?」、「どんな情報があれば決断しやすくなるか?」、「決断にあたっての障害は?」、「決断にあたってどれくらいの期間が必要か?」などなど。これらの質問から得られた情報をもとに、機会や情報を提供することで、決して自社の志望度が高くはなかった学生が最終的に選んでくれたことがありました。

・志望度「低」学生に対して
あきらかに他の会社を向いていて、自社への承諾は程遠い学生がこの志望度「低」に当てはまります。この学生を採用するためには、膨大な労力と時間が必要になるため、よっぽど採用したい学生にコミュニケーションは限定されます。採用人数と選考中の学生人数によっては、志望度高、中の学生に振り切って、コミュニケーションコストを使う戦略でも良いと思います。もしどうしても採用したい学生がいた場合には、人生観、労働観、などの根っこの部分からコミュニケーションを取っていく必要があります。

会社選びなどの浅い視点では、他社を向いている学生を振り向かせるのは難儀です。どの会社を選ぶかの視点ではなく、その学生の人生観、労働観といった深い部分から話し、整理・共感・示唆していきます。例えば、過去どんな人生を歩んできたのか、現在はどうか、未来はどのように考えているのか、なぜ働くのか、働くことに求める内発的動機はどのようなものか?などといった質問を通して、その学生の人生観、労働観、などの根っこの部分を一緒に整理していくイメージです。そして、その根っこの部分で見た時に今の決断の方向性にズレがあれば、示唆する。また、自社とその学生がどう一致しているのかを示唆し、学生自ら、気づいてもらうようにコミュニケーションしていきます。


【ステップ3】内定を伝える人を工夫する

多くの会社では、「内定出し」を行うのは社長や人事責任者です。大量採用をされている企業では、「採用担当から電話で」といったパターンもあるかもしれません。
経験則ですが、私は、この「クロージングを誰が行うのか?」を設計するだけで内定承諾率は変わると思っています。

結論を伝えると、その学生が最も信頼を置いている社員から内定出しを行うのが効果的です。説明会の時の社長の話に感銘を受けている学生には社長から、ずっと伴走した担当リクルーターへの信頼が厚い場合はその担当から、その学生のロールモデルになっている先輩社員がいるならその先輩社員から。選考過程の自社へ惹かれている点を注意深くヒアリングし、適切な人を選ぶと効果的です。内定出しは1人で完結する必要もありません。該当する人が複数いれば、複数人から入れ替わりで伝えることも良いと思います。


面接官の役割その5「決断を支援する」は以上です。

面接官の心得~面接の2つの目的と、面接官に必要な5つの役割~として、お届けしてきたコラムも今回のコラムが最終回です。

最近では、最終面接以外、面接はしないスタイルの選考プロセスが登場してきました。これは、様々な価値観を持つ社員がいる中で、複数回の面接をすることで、結果的に見極めを難しくしていることが背景にあります。

確かに面接による弊害は存在します。一方で、面接の対話の場があったからこそ、学生にとっては新たな気づきや自分の考えが深まることがあります。また、面接官側の社員が自分の仕事を棚卸ししたり、原点に立ち返ることがあります。このように面接が、お互いにとって良い時間になることも事実です。

選考プロセスは、面接以外も考えられるからこそ、面接を選ぶのであれば、是非とも良い面接が増えることが採用だけでなく、社会にとっても良いことだと考えます。その実現に、本コラムが少しでも貢献できれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人
小緑 直樹
小緑 直樹

株式会社アスタンス 代表取締役
株式会社ジョブウェブ シニアディレクター
公益財団法人日本ユースリーダー協会 上席研究員
英国GCC,Ltd認定ICCA-Japn国際キャリア・コンサルタントMaster

大学卒業後、採用・人材育成支援を行う株式会社ジョブウェブに新卒1号として入社。複数の事業部の事業部長、責任者を歴任する中で採用のコンサルティング案件を中心に90社以上の採用支援に携わる。大手グループ会社や自治体・公共関係組織を対象に採用理論・採用手法についての講演も多数実施。さらに大学やその他教育機関で年間700名以上の学生のリーダーシップ教育やキャリア支援教育を行う。 2012年6月に株式会社ジョブウェブを退職し、「株式会社アスタンス」を設立。企業の採用支援と学生のキャリア支援、双方の経験を活かし多数のプロジェクトを手掛ける。企業、学生への講演・研修数は全国にて年間70本以上実施。

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